
練習は本番のように、本番は練習のように

学びの場の価値を高めるプラットフォームを提供する、
FLENS(フレンズ)株式会社の社長・大生 隆洋のコラムです。
ICTを活用し、教育の新たな価値を生み出すことに挑む、その想いを語っていきます。
失敗について考えるとき、自分の人生を振り返ったとき思い出される出来事があります。
それは、私が中学3年の陸上競技大会の県大会のことです。
中2の秋頃から始めた陸上は800Mと100Mの選手でしたが、100Mはライバルも多く地区大会は突破できなかったが、800Mは地区大会を突破し、学校から私を含めて2人が県大会に進出することになりました。その頃は、練習でタイムトライアルをするたびに、タイムが縮まり、県大会を突破して、九州大会に行けるのではないかとの期待がありました。
県大会当日は父親も遠路応援に来てくれて、中学生最後の大会で最高の結果を出そうと気合が入っていました。陸上競技大会の関門は、「コール」と呼ばれる招集・点呼で、所定の時間・場所でコールを受けなければ失格というルールがあることです。スケジュール通りに大会を運営するためには必要なルールなのですが、コール漏れで泣いたという話は良くある話です。
その日の私は調子も良く、今までにない手ごたえをアップ時に感じていたので、コール漏れに細心の注意を払って、コールを受けた出走組ごとに整列させられました。出走組の列はしばらくするとスタッフに引率されてスタート地点に移動するので、私は、その存在を確認しながら列から離れ、体を動かしてアップしていました。これで九州大会に行けるかもと考えながらテンション上げていました。
しばらくすると、マネジャーが血相を変えてスタンドから降りてきました。
「どうしたの?」
「ん?かなり調子いいので、アップしているところ」
「もう、走っているよ」
「いや、あそこにまだいるし」
「あれは2年生だよ」
「・・・」
「・・・」
という感じで、私の夏は終わりました。
コールという関門は通過したのに、スタート地点にいないという失敗を犯してしまいました。
すごく調子が良く、どこか浮かれた気持ちがあったのと、いつもはコール後、おとなしく整列しているのに、その日に限り、いつもとは違う特別なことをしたために起きた出来事であったように思いました。
いつも通りやることの難しさと大切さを学んだ経験でしたが、10代の私は、これを克服するのに何度か同じ失敗の経験を必要とすることになります。
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